思い出のロッカー

思い出のロッカー

卒業から20年を記念して部活の仲間が集った。一次会は居酒屋、二次会をどうするか話していると元部員のA君が「久しぶりに高校へ行かないか?」
私、「今からは遅くないか?」
A君、「8時前だから、まだ、部活はやっているよ」
高校に着いたのは夜の7時30分、体育館の灯りが付いていたため様子を見に行くと、マネージャーの女の子が私達に気付いてくれた。
マネージャー、「OBの方ですか?」
私、「はい」
マネージャー、「練習を見てって下さい」
私、「〇〇監督は?」
マネージャー、「〇〇監督は私は分かりません」
私達を叱咤激励してくれた〇〇監督は定年退職して学校にはいなかった、会えないのは寂しいが、久しぶりに思い出が沢山詰まっている部室を見せてもらった。
A君、「このロッカー、昔と同じじゃん」
私、「もしかして、一番右のロッカー、今も使えないの?」
マネージャー、「カギが無くて開けられないのです」
私、「僕達が入部した時には既にカギが無くて使えなかったよ」
A君、「鍵屋さんに来てもらうか?」
学生の頃は親からお小遣いをもらうだけでお金は無かったのだが、社会人として働いている現在は多少なりともお金はある。
ネットで調べて鍵屋さんに来てもらうと、ロッカーを見た鍵屋さんに鼻で笑われた。
鍵屋さん、「このロッカーは、カギ穴が壊れているから壊さないと開けられません」
鍵屋さんはロッカーを大して見てもいないのに鼻で笑ったためOBの私達はムッとした、沢山の思い出が詰まったロッカーだから。
マネージャー、「どうします?」
A君、「俺達の一存で壊して良いのかな?」
私、「そうだな」
マネージャー、「監督に聞いて来ましょうか?」
私、「そうしてくれる」
暫くすると現在の監督が部室に来て鍵屋さんを見ると、「あっ、先輩」
私、「鍵屋さんはここの卒業生?」
鍵屋さん、「はい」
A君、「今、何歳ですか?」
鍵屋さん、「35歳です」
私、「鍵屋さんは俺達の後輩かよ、監督も後輩かよ」
監督が後輩と分かれば何も遠慮はいらない、壊れているロッカーのカギを新しいのに交換してもらった。
ロッカーの中に入っていたのは、なぜか木刀、そしてタバコ、ライター、エロ本数冊。
今でこそ全国レベルの部活に成長したが、私達が学生だった頃はまだ学校が荒れており、部室でタバコを吸うのは当たり前だった。
現在の監督と鍵屋さんが部活を全国レベルに押し上げたことを知った私達OBは肩身が狭くなり、鍵交換費用はもちろん部活の激励費として1人1万円を支払った。

鍵 下関

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。