仕事帰りでやっと家に着いたのに・・・
昔、独身時代にひとり暮らしで毎晩遅くまで仕事に明け暮れていた日の出来事です。その日も、残業が終わって自分が住むマンションのドアの目の前に着いた時、家の鍵がないことに気づきました。会社の個人ロッカーの所で落としたに違いない。もう時間は遅かったためマンションから会社へ戻る電車はなく、一瞬頭の中が真っ白になって呆然と立ち尽くしてしまいました。しかし、次の日も当然仕事なので一刻も早く風呂に入って、ご飯を食べたい。鍵屋さんを手配して、開けてもらうか。一応待ち時間や、金額や調べはしてみたものの、こうしている時間がまさにもったいない。いや、違う。
幸い、うちの会社は交代制の職場であったため24時間会社の通用口は出入りが可能です。鍵屋を待つより行動を起こした方が早いと思い、タクシーで会社まで向かい個人ロッカーの所へ大急ぎで走って向かいました。自分の個人ロッカーの前に、コロンと鈴のついた家の鍵が幾分寂しそうな雰囲気を醸し出しながら床に転がり落ちていました。その鍵を拾い上げ、待たせてあるタクシーの元へと急いで戻ります。安堵の表情を浮かべ、タクシーへ乗り込み、家路に着きます。事の顛末をタクシーの運転手も親身になって話を聞いてくれて、「鍵が見つかって本当によかったですね!」とタクシーの運転手。・・・本当ですよ。本当に鍵があってくれてよかった。その日家に帰ってからの、風呂と晩ご飯は実に気持ちが良くて美味い飯でした。