旅行が趣味の友人の話です。
数年前の世界的ウィルス騒動でなかなか旅行に行くのが難しくなり、ずっと毎年行っていた海外旅行も自粛していたところ。
最近、やっと海外旅行に行けるような状況になったことで再び趣味の旅行を楽しもうと決意。
さらに多忙だった仕事も長い休暇が取れることになったので海外旅行に行こうと思い、しばらくの間、押入れにしまっておいたホコリまみれのトランクを取り出して中身をキレイにしておこうと、観音開きのように空っぽのトランクを開いて内側の収納箇所を水拭きをしてそのままの状態に。
天気の良い早朝だっったので昼間にかけて天日干しのようにトランク収納内を陽を浴びさせて自然乾燥させて清潔にして使おうと思ってベランダにしばらく放置していたんだそう。
実は友人はそのときペットの猫を飼っていて、トランクの周りで日当たりの良い場所で昼寝をしていたことを見ていたんです。
ベランダに放置しているトランクは開けたままで完全に開ききっています。
だからもしペットの猫が入ることがあっても自動で閉じることはないので、もし猫が入ってしまっても大丈夫だろうと、しかも猫は熟睡しているので起きるまでにはトランクの収納箇所も乾いてキレイな状態になっているに違いないし。と考えてしばらくはトランクを開けたまま、友人はトランクを開けたままに放置したベランダから別の部屋に行って、家事などをしていたんだそう。それから、しばらくして陽が落ちて夕方に。
そろそろ、トランクを片付けようと、ベランダに放置したままのトランクを片付けようとベランダに行ってみたところ。
友人はぞっとする光景を見てしまったんです。それは観音開きの状態で床にフラットに左右開ききっていたはずのトランクが確実に閉まっていたんです。
友人はベランダに放置した状態のまま別の部屋で家事をしていたため、ベランダには夕方になって初めて戻ったという状況。
だからトランクは誰かが故意に閉じなければ閉めることはできず、その時友人は一緒に住む母親や父親、兄弟全て家族が出かけてしまって一人でいたので、友人以外の誰かがベランダに侵入してトランクを閉じた疑うことに。もしかしたら第三者が家に侵入しているかも?と不審と恐怖に感じていました。
しかしそれよりも、トランクの傍で眠っていたはずのペットの猫の姿が一切見当たらず、もしかしたらトランクにペットの猫が第三者の侵入者の手によってイタズラで閉じ込められたかもしれないという恐怖でいっぱいになってしまったんだそう。で、とりあえずまずは家中のペットの名前を呼びながら探してみたのですが見当たりません。さらに友人が侵入したのではないかと思った第三者の姿もありません。
そしていくら猫の名前を呼んでもニャという声も悲鳴ひとつ聴こえない。
友人は猫がひょっとしたら瀕死の状態でトランクに閉じ込められたのかもと、いそいで閉まっていたトランクの鍵を開けようと思っていたのですが、そのトランクの鍵もしばらく使ていなかったため壊れていたようで上手く開かなくなって、もう混乱状態。
友人は仕方なく、トランクの鍵を工具で必死で壊してトランクを開けました。
しかし、ペットの猫はいませんでした。
あまりのショックに呆然としていたら、ベランダから面した庭から見える門扉から、母親が入ってくるのが見えたんです。
しかも、ペットの猫を抱いていて・・・。
玄関からベランダに向かって来た母親はベランダで驚いた表情で呆然とする友人を見て一言。
外出から帰ってきて門扉を開けたら猫が庭にいたから抱っこして家に入れようとしたらベランダにトランクが開けて干してあるから閉めたのよ、そうしたら抱っこしていた猫が開けた門扉から逃げて。やっと捕まえた。と一言。
つまり、友人がトランクを開けて干していた間に、母親は門扉から入って猫がいつもは自宅内にいるはずなのに今日にかぎって庭にいるのを見つけて思わず抱っこしてベランダから家屋内に入れようとしたらベランダのトランクに気がつき閉めた。
そのあと抱っこしていた手から猫が暴れてしまい抱っこして手から離れて門扉から猫が逃げたのを捕まえに行った。だから友人がいくら探しても部屋に猫がいなかったということだったんです。つまり猫がトランクに閉じ込められたというのは友人の勘違い。
友人は結局勘違いで、トランクの鍵を壊してしまったためもうそのトランクの鍵は使用不可になってしまって、鍵付きの新しいトランクを購入する羽目になってしまったんだそう。