恐怖の…
“不動産屋さんで受け取ったその鍵は、手垢もつき、ベタベタとした、明らかに使い古した鍵でした。
「あれ?これ、古くない?」
疑問に思ったので不動産屋さんに聞いたのですが
『交換済みだそうです。もう一度交換となると、更に鍵交換代がかかりますが、よろしいですか?』
不信感はたっぷりでしたが、引越しの予定も立ててることから仕方なく受け取る事にしました。
住み始めてから数日たったある夜のこと。
飼っている猫の毛並みが急に膨らみ、何かを狙って玄関の方へゆっくりと進んで行きました。
「どうしたの?何かいるの?」
害虫がでたのかと思ったわたしは、殺虫剤を構えて恐々猫について歩いたのですが、そこにヤツはいません。
そう言えばおかしい。
ヤツを見つけても、毛並みを逆立てることは今まで一度もなかったのですから。
更に玄関を睨み続ける猫。
怖い。もう、すごく怖い。
おばけ?みえてはいけない人が、とうとう訪問して来られた?
そう思い、塩を撒いてみたけど、猫はフリーズしたままで…
玄関から中にはなにもいません。
ならば、と思いドアスコープを覗いてみると…
真っ暗でした。
いつもなら、廊下と転落防止の柵が見えるはずなのに、真っ暗でした。
「廊下、停電?」
45年ほどの老朽化しているマンションだった為、いろんな不具合が割と日常にあったので、今回もそんな中の1つだろうと思いかけた次の瞬間!
「待って?廊下は見えなくても高速道路の灯りは見えてもいいよね?車の音も聞こえてるし。なんで見えない…」
ガチャガチャガチャガチャ!
カチャカチャ
ガチャガチャガチャガチャ!
なになになになになにーーーーっ!?
鍵穴に鍵を入れる音と同時に目の前でドアノブが動き出しガチャガチャと激しく動かす音が!
怖すぎて声も出ません。
「け、警察!!」
そう思ったわたしは急いで警察へ電話し、状況を説明。
まず管理会社へ連絡してて欲しい、と言われ電話をしましたが、その日は生憎の土曜夜で、管理会社は誰も出ませんでした。
10分後、警察官が2人来て玄関先で事情聴取。
それが終わったらマンション周りに不審者がいないか見ておきます。
そう言われ、その日は終わりました。
翌月曜日(だったと思う)、出勤直後に管理会社へ電話し、状況を説明し、警察からも連絡が行く旨を伝えてました。
怖いので、お金がかかってもいいから鍵を交換して欲しい、と訴えましたが、交換済みだから、と断られました。
…が、その日の昼過ぎ、警察から連絡があり
『管理会社に連絡し、状況を説明しました。また管理会社から連絡がいくと思いますので。』
直後管理会社から連絡があり
『本当に警察を呼ばれるくらいの事があったんですね。警察からも言われましたので、鍵を新しいものに交換しましょう』
と、ようやく交換してもらえることになりました。
ちなみに、古いと思ってた鍵は
いろんな部屋の鍵の使い回しだったそうで、前の住人が鍵を持ってたらもしかしたら開けれるかもしれない状態だったみたいでした。
その後、無事新品の鍵になり、マンション全体の鍵も全て新しいものに交換されてました。
鍵交換代として払ってたのですから、新しい鍵になってるのが当然の事だと思ってたので、割と根深いトラウマです。”